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たぬきの花よめ道中、発売。

たぬきの花よめ道中が3月に出版されました。

2016年12月に『ざしきわらし』を出して以来の絵本。

遠い道のりじゃった……。




『あずきとぎ』の原画を納めに行った時に、

初めて『たぬき〜』担当編集者秋山さんにお会いした。

その後、テキストを送っていただき、

「いや〜、コレはわたしの絵じゃないほうがいい!」

と強く思った(いつものことだけど…)。


文の最上さんが、なぜかわたしを推してくださってるとのこと。

「ちょっと考えさせてください……」

と言ったきり、特になにもせず日が過ぎて、

今さら「お断りします」と言えない状況になり、

描ける自信が全然持てないまま

「やります!」と返事をした……

というのが成り行きの真相。(ヒドイ)


わー、どうしようー、、、、。

こんなに楽しげでコミカルな物語の絵なんて、

こんなにたくさんの登場人物なんて、

こんなにビルだらけの都会の絵なんて、

絶対描けないから〜!!!


「し〜らねっと」



最上さんのテキストでは、

たぬき達は人間に化けて都心に行くことになってる。

でも、そうだ!

人間に化けずにたぬきの姿のままで、

都会に行っちゃえばいいんじゃない?

東京は他人に無関心だから

たぬきの団体が歩いてても平気なんじゃない?

人間たくさん描くのは嫌だけど

たぬきだったら描けそうだし…


という案を出してみたけど、やっぱり却下。


「そりゃそうだ」



その時、編集の秋山さんが、

「この絵本を読んだ子どもたちが、

読んだ後、日常の暮らしの中で

あの人狸かも?と思ってくれるようにしたいんです」

とおっしゃった。


あぁ、なるほど、そういうことか…。


「ホントにわかったのか?」



『ネコヅメのよる』のデザインをしてくれた大島依提亜さんが、

「三日月を見ると、“今夜はネコヅメかな?”と思うようになる。

そうやって、読み終わった後に

絵本の世界が続くところが(この絵本の)いいところ」

というようなことを言ってくださったことがあり、

なるほど〜!と思ったのだ。


読んだら終わり、ではなく、

絵本を閉じてもその世界が続くこと。

それがきっと「いい絵本」なんだ。


「たぬきの〜」を読んでくれた子どもが

その後、「あの人たぬきかも?」と思うようになったとしたら、

そんな嬉しいことはないじゃないか。


たくさんの人間を描くことは嫌だったけど、

描く必要をとっても感じたのでやる気になれた。


「描くのが嫌とか言うのナシな」



結局、描き終えてみれば、

「たぬき」を描きわけるほうが

人間を描きわけるようり難しかったと思うから、

人間で良かったよな〜…と思った。


それに、

描いてる間は

「人間を描いてる」という気持ちではなくて

たぬきを描いてるという気持ちだった。


だって、この人たち、本当はたぬきだから。


ちなみに、

今回絵本を描くにあたり、

こちらのたぬき本を購入した。

『タヌキ学』高槻成紀/著(誠文堂新光社)


童話の中の一般的なたぬきのイメージ、

あの「たぬき」を描きたくなかったから。

「正しいたぬき」を描きたかった。

まぬけでどんくさく描かれることが多いたぬき、

でもその毛並みは、毛皮として重宝されるぐらいに美しい。

「美しいたぬき絵本をつくろう!」

それが最初に心に決めたこと。

美しいたぬき絵本になってるかどうか、

書店で目が合ったら

ぜひページをめくってみて下さい。

宜しくお願い致します。




さて、

さすがにたぬきの絵本に

白木を入れ込むことは難しかった!

でもがんばった!(間違った方向のがんばり!)

生白木は一回しか描けなかったけど、

定番の(?)「白木駅」から始まって、

「白木がらみ」のものは幾つか忍ばせることが出来た。

気が向いたら探してみて下さい。


それから……

猫のさくらは出てこないけど、


花の桜はたくさん出て来ます。



『たぬきの花よめ道中』

最上一平/作

町田尚子/文


椎名麻美/デザイン

岩崎書店/発行

1600円+tax


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